雷と印ろう  舞鶴市下漆原 小島幸右衛門さん

 夏、大きな夕立が来たと。
ほしたら雷がゴロゴロ鳴ったと。
これはおとろしと思って、
家へひっくりかえってもどったと。
ほしたら、雷が鳴ったあとへ行ってみたら、
落ちとったて、印ろうが。
「あっ、印ろう拾た」言うて、
「なあ、ええもん拾たなあ。開けてみいや」
「うん、開けてみよう」
言うて、一番上のを開けてみしたら、ピカッと光ったって。
「あっ、光った」
その次の印ろうを開けてみようと思ったら、
こんだへそが出てきたと。へそが。
「あっ、へそが出てきた」
もいちばん下の印ろうを開けてみようとしたら、
開かなんだって。 そしたら、雷さんがなあ、
「へその下を開けてくれるな。恥ずかしいわいや」
言うたって。☒